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筆者は、現在の天皇家につながる伏見宮邦家親王の皇女・日榮の自筆(本物)です。
三千塵点劫という長遠な過去における大通智勝如来という仏がおり、
この仏には16人の王子が16番目の王子が釈迦牟尼仏です。仏の道のりは険しく長い。
導く為の手立てとして平安を説き、神通力で作られた大きな城で休息を終えた者に
法華経をいたのが「化城喩品(けじょうゆほん)」です。
出品した商品は、京都嵯峨・瑞龍寺門跡(皇族が出家し代々入寺する寺)で、伏見宮の皇女・日榮の自筆「法華経(妙法蓮華経)」の古切(断簡)です。
伏見宮は、現在の天皇家につながる系統であり、明治天皇・大正天皇、そして、今上天皇も「伏見宮貞成親王」の男系子孫であり、日榮は「伏見宮邦家親王」の皇女です。
記された文字は細字で女性特有のやわからい楷書体で一文字ずつ長い時間をかけて丁寧に記されております。 日榮は、美しい文字を記す能筆家として有名であり、書道史にも名が残されております。
自筆下の印は皇女「日榮」の落款です。
「額縁の周囲と中心部の金色(黄色)の意味について」
海外展示に際し、「額縁の周囲と中心部の金色(黄色)」の額縁が使用されております。これは、「黄巻朱軸(黄金巻赤軸ともいう)」に由来するものです。日本に仏教が伝来するはるか以前の西暦67年に日本に仏教が伝来しております。この頃、金色(黄色)の紙に「法華経」を書き記し、朱色を軸としたことから「黄巻(黄金)朱軸」の言葉が残っております。日本の仏教の経典の表紙に「黄色(金色)」が多いのは「黄巻(黄金)朱軸」に由来しております。
日本唐代以降の「法華経」の断簡が「黄色(黄金)」の縁どりの「額」に書き記されていることがあります。出品いたしました「法華経」自筆は、海外展示の際、千年以上も時代を遡った「法華経」の形式に準拠し、「周囲と中心部の金色(黄色)の額縁」の中に納め展示されたものです。
坂本幸男・元立正大学学長は、その著「法華経」(岩波書店刊)冒頭で、「法華経は、
信仰の対象として強く深くあがめられ唱えられてきたが、同時に美しい比喩や巧み
な説話の数々が文学・芸術の世界にも豊かなものをもたらした」と記しております。
「法華経」の自筆が海外において額縁で展示されるのはこうした理由によるものです。
「額縁入原本」
写真下の印が日榮の落款、
「自筆原本」
出品した自筆の「原文(漢文)」は次の通りです。
出品した自筆の「原文(漢文)」は次の通りです。
《妙法蓮華経 化城喩品(けじょうゆほん)第七》
成阿耨多羅三藐三菩提。其仏未出家時。
有十六子。其第一者。名曰智積。
諸子各有種種珍異玩好之具。
聞父得成阿耨多羅三藐三菩提。皆捨所珍往詣仏所。
諸母涕泣而随送之。其祖轉輪聖王。
與一百大臣及余百千万億人民。皆共圍繞随至道場。
咸欲親近大通智勝如来。供養恭敬尊重讃歎。
到已頭面禮足繞仏畢已。
一心合掌瞻仰世尊。以偈頌曰。
大威徳世尊。為度衆生故。
於無量億劫。爾乃得成仏。
諸願已具足。善哉吉無上。
世尊甚希有。一坐十小劫。
身體及手足。靜然安不動。
其心常憺怕。未曾有散亂。
(文責・出品者)
出品した自筆の「原文の読み下し文」は次の通りです。
《妙法蓮華経 化城喩品(けじょうゆほん)第七》
阿耨多羅(あのくたら)三藐(さんみゃく)三菩提(さんぼたい)を成じたまいき。
その仏未だ出家したまわざりし時に十六の子あり。その第一をば名を智積という。
諸子各種々の珍異玩好の具あり。父阿耨多羅(あのくたら)三藐(さんみゃく)
三菩提(さんぼたい)を成ずることを得たもうを聞いて、
皆所珍を捨てて仏の所(みもと)に往詣す。諸母涕泣して随(したが)って
之(これ)を送るその祖転輪聖王、一百の大臣及び余の百千万億の人民と、
皆共に圍遶(いにょう)し随(したが)って道場に至る。
咸く大通智勝如来に親近して、供養・恭敬(くぎょう)・尊重・讃歎したてまつらんと欲し、
到り已(おわ)りて頭面に足を礼し、仏を繞り畢已(おわ)りて一心に合掌し、
世尊(せそん)を瞻仰(せんごう)して偈(げ)を以(もっ)て頌して曰(いわ)く、
大威徳世尊(せそん) 衆生(しゅじょう)を度せんが為の故(ゆえ)に、
無量億歳に於(おい)て 爾(そ)して乃し成仏することを得、諸願已に具足したまえり
善哉吉無上、世尊(せそん)は甚だ希有なり 一び坐して十小劫、
身体及び手足 静然(じょうねん)として安じて動せず。
その心常に憺泊(しずか)にして 未だ曾て散乱あらず。
(文責・出品者)
出品した自筆の「原文の現代語訳文」は次の通りです。
《妙法蓮華経 化城喩品(けじょうゆほん)第七》
《十小劫(こう)を過ぎて諸仏の法を証すことができ、》・・・・阿耨多羅(あのくたら)
三藐(さんみゃく)三菩提(さんぼたい)を成就されたのだ。
その仏が、未だ出家されていない時代に十六人の子がいた。その第一子の名は智積といった。
子供たちは、それぞれ種種の珍異玩好の具を持っていたが、
父が阿耨多羅(あのくたら)三藐(さんみゃく)三菩提(さんぼたい)を
成就することを得られたと聞いて、全員玩具を捨てて仏の所に往詣した。
諸母は涕泣しながら子供を随送した。その祖である転輪聖王も一百の大臣
およびその他百・千・万・億の人民と共に、皆で囲繞して道場までついて行った。
すべての者が大通智勝如来に親近し、供養・恭敬・尊重・讃嘆したいと思ったからだ。
道場に到着すると頭面礼足し、仏を廻り終って一心に合掌し
世尊(せそん)を瞻仰して、偈(げ)を以て頌して申しあげた。
大威徳ある世尊(せそん)は衆生を済度したいが為に、無量の億という
歳月をかけて仏に成ることを得られました。諸願はすでに具足されています。
めでたや、吉無上であります。世尊(せそん)は甚だ希有であり、
一たび坐せば十小劫(こう)、身体および手足は静然として安んじておられ不動であります。
その心は常に憺怕(しずか)で、未だかつて散乱されたことはありません。
(訳・出典「法華経」三枝充悳・筑波大学名誉教授)
「出品商品に関する疎明資料(自署と落款)」
写真上段の右の写真が、日榮・自筆「法華経」自筆署名と花押。
法華経の文字の右に「日榮」の花押。左下の印は「日榮」の落款(白文)。
上段左の写真は、「日榮」の署名部分の拡大写真。
写真下段右は、日榮・自筆「法華経」化城喩品第七の表紙部分
下段左は、表紙の拡大部分で、印は日榮の落款
下の角印は、「竹に雀」の絵柄で伊達家(仙台藩)の家紋
「額縁裏面の表記」
額縁の裏面に下記の「表示ラベル」を貼付しております。
「自筆の画像断層写真」
「断層画像写真」上部に「Le Lotus de la Bon Loi・Royal Princess Nichiei」と表示されております。
この表記は、欧米などでの海外展示のための「仕様基準」に準拠し表記されているものです。
(断層画像写真番号 R03731―7―4)
上の写真の印は、皇女「日榮」の落款。
国宝・細字「法華経」(参考資料)
上記写真は、国宝として有名な細字「法華経(部分)」東京国立博物館・所蔵。上記「国宝」の画像は、 こちら(東京国立博物館・国宝)をクリックしてご覧ください。
伏見宮邦家親王の皇女・日榮・自筆「法華経(妙法蓮華経)」を出品 商品説明 出品した細字「法華経(妙法連華経)」自筆切(断簡)は、伏見宮邦家親王の皇女・日榮・自筆「法華経(妙法蓮華経)」の自筆切(断簡)です。自筆の表紙には、日榮自身の花押(自署)が見えます。ほかに、「日榮」自身の落款も見えます。原本の大きさ タテ24.0センチ ヨコ14.7センチ。額縁の大きさは、タテ40.0センチ ヨコ30.0センチ。額縁は新品です。
稀少価値 1・自筆の希少価値
出品した「法華経」は、伏見宮邦家親王の皇女・日榮の自筆です。
2・皇女・日榮と現在の天皇家との関係
皇女・日榮の祖先「伏見宮」は、室町時代の「貞成親王(さだふさしんのう)」の第一王子であり、後に後花園天皇として即位し、第二王子の貞常親王は兄の後花園天皇から永世「伏見殿」と称することを勅許され、以後、代々「伏見宮」と名乗るようになった。「伏見宮」は、現在の皇室につながる系統であり、明治天皇・大正天皇、そして、今上天皇も「伏見宮貞成親王」の男系子孫である。
皇女・日榮は、伏見宮邦家親王の皇女で、文久2(1862)年、8歳で叔母の瑞正文院日尊尼を師として得度受戒。尼門跡村雲瑞竜寺の第10世。和歌や書に堪能であった。
(出典・『近世女流書道名家史伝』)
3・額縁裏面の説明ラベルについて
額縁裏面ラベルの「Le Lotus de la Bon Loi・Royal Princess Nichiei」〔和訳・法華経(妙法蓮華経)皇女・日榮〕は海外展示仕様に基づく表記です。
出品画像は「海外展示」の際の写真です。日本に戻る際、約款に基づき「額縁」は「新品」に交換されて戻ってきます。この際、額縁ラベルも「日本語表記」として交換されます。 自筆の断層画像写真 自筆の稀少価値は、文字の緻密さとその美しさにあります。上の「拡大断層写真」でわかる通り、厚手の和紙の上に墨の文字がくっきりと浮き上がるように美しい日榮の手書きによる細字「法華経」の文字が記されている。
出品している書の「断層(MRI)写真」の原板は、レントゲン写真と同じ新聞の半分ほどの大きさのフィルムです。肉眼では見ることのできない和紙の繊維の一本一本のミクロの世界を見ることができます。日本国内では医療用以外には見ることのできない書の「断層写真」です。
古切の書は、一旦表装を剥離し分析と鑑定検査のために「断層写真撮影」されている。撮影後、展示のために再表装をしている。掛軸や屏風にすることが可能なように、「Removable Paste(再剥離用糊)」を使用しているため、自筆の書に影響をあたえずに、容易に「剥離」することができるよう特殊な表装となっている。